「ハート・ロッカー」
今年のアカデミー賞は、全世界でモンスター的興行を続けている「アバター」が最有力視されているけれど、その対抗馬として注目されている作品がこの「ハート・ロッカー」。「アバター」のジェームズ・キャメロン監督の元奥さんであるキャサリン・ヒグローがメガホンを取っている。なんたる皮肉。いや、なんてドラマチックな展開w
戦時下のイラク・バグダッド。最も危険任務といっても過言ではない、爆発物処理に従事する特別部隊EODのメンバー3人にフォーカスを当てる。優秀なリーダーが爆死したあと、やってきたのはワイルドで破天荒なジェームズ2等軍曹。これまで相当数の爆弾を処理してきた彼だが、どうやって生き延びてきたのかというほどの命知らずである。部下となったサンボーンとエルドリッジは残りわずかな任期を、この怖いもの知らずの男と過ごすのだ。
イラクで爆発物処理班に同行取材したジャーナリスト、マーク・ボールが脚本を手がけている。そこからも分かるように、これは誰かの物語ではない。言うなれば、特別部隊の日常をカメラが追ったというドキュメンタリーに近い。そして戦争を原体験として知らない世代にとって、それはそれは優しいレッスンではない。人を銃で撃つということは、人を殺すということは、肉が裂けて内臓と血液が飛び出すことを言う。そこに嘘をついてはいけない。それをきちんと描いているだけで、この作品には大きな力が宿っている。
キャストは大いに地味である。レイフ・ファインズやガイ・ピアースといったベテランも出てはいるものの、完璧な脇である。主演ジェレミー・レナーの芝居には、戦争というドラッグをふんだんに吸い込んだ空気感が漂っている。兵士とは? 歩き方から眼差し、話し方、息のつき方ひとつひとつで丁寧にそれを描写している。
カメラもとても効果的なアングルとタイミングを押さえている。この映画は“爆破”自体かなりのキーポイントとなっているのだが、その破壊行為が戦場の麻薬として観客を惑わせるのだ。正義か悪かを問わない戦争映画だからこそ、見ているものは自分で何を見ているのか考えないといけない。そこにはただひたすら、弾丸、肉、スイッチ、血、ワイヤー、人間。それしかいないのだ。
ALL ABOUT FILMS の関連記事
- 「シスタースマイル ドミニクの歌」 - May 31st, 2010
- 「Sex and the City 2」 - May 28th, 2010
- 第63回カンヌ国際映画祭、結果発表! - May 24th, 2010
- 「SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」 - May 19th, 2010
- 「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」 - May 14th, 2010
- 「春との旅」 - May 11th, 2010
- 「ACACIA」 - April 26th, 2010
- 「第63回カンヌ国際映画祭」ラインナップ発表! - April 23rd, 2010
- 「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」 - April 15th, 2010
- 「プレシャス」 - April 14th, 2010















