「ウディ・アレンの夢と犯罪」
ウッディ・アレン監督のロンドン3部作として、「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」に続く本作「ウディ・アレンの夢と犯罪」。加えて主演にユアン・マクレガーとコリン・ファレル、共演に「フィクサー」のトム・ウィルキンソンという豪華キャスト陣なのに、あまり注目されていない。日本では「それでも恋するバルセロナ」のような、キャッチーなラブストーリーの方がウケるんだろうけど…。こっちもぜひ注目して欲しい。
ホテルへの投資で成功を収めようする野心家の兄・イアンと、酒とギャンブルを愛する気ままな弟・テリー。この対照的な兄弟は、共通して金に困っている。そこに現れた胡散臭い資産家の叔父。かれは資金援助の代償として、j兄弟にヘヴィなお願いをしてくる。
ユアン・マクレガーとコリン・ファレルの兄弟というのが、かっこよすぎる気が……。でももちろんのこと中身はコンプレックスや不安でいっぱいで、なんだか冴えないしイライラする。両親も嫌味っぽくて保守的で、叔父さんもかなり図太くて悪名高くて、この映画には悪意の破片がたくさん散ばっている。喜劇作家として知られるウッディだけど、実は彼は自他共に認めるカナリの悲観主義者だ。だから悲しいコメディを撮る。
「喜怒哀楽」とは、チェーンの鎖のように繋がっているのだと思う。そのチェーンが複雑に何本も絡み合い、ぐちゃぐちゃになって、コメディを産んだり、悲劇を産んだりする。そこにクラシックであからさまな音楽をつければウッディの映画になる。彼は現実を捉えているだけで、意図的に悲劇や喜劇を生み出そうとしているわけじゃないんだと思う。そこが彼の作品の安定感だ。
ちなみにプレス(マスコミ向けの資料)がおしゃれなのもニクイ。
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